春の魚は、“始まり方”がきれいです
春の魚文化の面白さは、味だけではありません。まず空気が先に変わります。冬の白さや重さが少しゆるみ、 海がやわらかい明るさを持ち始める。すると魚の話題も変わります。寒さをしのぐ魚から、 “今年も来たね”と迎える魚へ。そこに春独特の感情があります。
春は、魚が少しロマンチックになる季節でもあります。ホタルイカの発光、初鰹の初物感、シロエビの透明感。 食べものの話をしているはずなのに、どうしても湾の光や港の朝の話までしたくなる。だから春の魚は、 ただ旬というより“場面”で覚えられるのです。