Hiro remembers
Hiro は最初のカツオを釣ったとき、魚に怒られたような気がしたそうです。そんなことを言うと教授は困った顔をしますが、 速い魚には性格があるように見えるのです。カツオはとにかく前へ行きたがる。のんびりした顔をしていない。
だからカツオの話は、いつも少し前のめりになります。春が終わったかどうか曖昧なころに、 もう夏の匂いをちらつかせる。まだ空は春っぽいのに、魚だけ先に季節を進めてしまう。 そういう気の早さが、初鰹の魅力です。

カツオには、走っている魚の顔があります。筋肉でできていて、気が早くて、季節を一足先に引っぱってくる。 とくに「初鰹」と呼ばれる頃になると、ただの魚ではなく、“季節の到着通知”になります。
初夏の風
黒銀走る
海の筋
Early summer wind—
black-silver muscle racing
through the open sea.
Hiro は最初のカツオを釣ったとき、魚に怒られたような気がしたそうです。そんなことを言うと教授は困った顔をしますが、 速い魚には性格があるように見えるのです。カツオはとにかく前へ行きたがる。のんびりした顔をしていない。
だからカツオの話は、いつも少し前のめりになります。春が終わったかどうか曖昧なころに、 もう夏の匂いをちらつかせる。まだ空は春っぽいのに、魚だけ先に季節を進めてしまう。 そういう気の早さが、初鰹の魅力です。
「“初鰹”って、そんなに特別なんですか? ただその年の最初ってだけではなく?」
そう、まさにそこです。日本では“最初に来ること”自体に価値がつくことがあります。 カツオはその典型です。
「最初だから価値があるのではない。最初なのに、ちゃんと季節を感じさせるから価値がある。」
親方のこの言い方は見事です。カツオがえらいのは“初物”だからではなく、初物なのに完成しているから。 まだ早いはずの季節に、もうちゃんと食欲を連れてきてしまう。そういう魚は強い。
「カツオが来ると、みんな急に“今年は早いねえ”って言いたがるのよ。」
季節の会話が始まる魚。それがカツオです。
カツオは日本の季節感の中で非常に強い位置を持っています。生物学的な migratory fish であると同時に、 “初物”文化、嗜好の先行、地域的調理法、香りの記憶まで動かす魚だからです。
カツオは早い魚です。泳ぎだけでなく、季節の話も早い。だから人はカツオを食べるとき、 味だけでなく「今年がどんなふうに進んでいくか」まで少し感じているのかもしれません。
fish.co.jp では、カツオを“たたきがおいしい魚”で終わらせず、 日本の初夏に最初に手を挙げる魚として描くのがふさわしいと思います。